敗戦前後の混乱の中、旧満州での難民収容所で栄養失調、病気、寒さの中、戦争孤児4人は2週間に1回の炊き出しを心待ちにしていた。配給に来てくれるやさしいおじさんの笑顔と話しかけてくれる事が、生きる力になっていた。よっちゃんは、痩せ細って骨と皮だけ。
こうちゃんは顔や手足がむくみ、しんちゃんとよしぼうは発疹チフスの病み上がりで、4人とも廊下をヨタヨタと歩き、這って配給をもらいに行く。周りの大人からも下痢状態を汚がられる。そんな中、自身の死と直面しながらも、おじさんへの感謝の気持ちを手紙に残し死んでいく。心に重く、暗く、悲しみの残る絵本だが、大人がこどもに読んでやったり、こどもに勧め、戦争の悲惨さを伝えていってほしい。
(なお、この本は一般の書店での販売はありませんので、図書館でさがすか、財団法人中国残留孤児援護基金に直接お問い合わせください。)
推薦者:大平光代(絵本の家「ゆきぼうし」(魚沼市)代表。絵本専門士の資格を持つ。10年間子育て専業主婦をし、現在は保育園、こども園勤務の保育教師。大阪府出身)